Stampedia founder's blog

オンライン世界切手カタログ「スタンペディア」創始者のブログです。
Stampedia founder's blog TOP  >  スイス

ZURICH 6の掘り出し

スイスクラシックの収集もある段階を超えてから欲しいものがなかなか見つからなくなりました。安く楽しめるプロイセンと違って高価なマテリアルが多いため「とりあえず全部買って後で考えよう」みたいな芸当ができないので、吟味して購入せざるを得ないので、余計それに拍車がかかります。

しかし、昨年くらいから、スイス以外のオークションではどうやら安く掘り出せる事に気付き、丹念に小さなロットも(フィラサーチで)下見しています。そんな中で入手したマテリアルがこれ。

20180612_1.jpeg

一見して汚い消印の使用済みです。ただ4マージンフルでリペアされていない鑑定書付き使用済ですので、Corinphilaで同様のものが出ていたら、消印を考えないとして、800CHFくらいになると思いますが、ドイツの中規模オークション(とはいえ、ジャパンくらいの規模はあるのですが)では360ユーロで売れ残っていたところを拾うことができました。

で私がこれを欲しかった理由は消印が二重押捺になっているのではないかと考えたからです。チューリッヒ郵政における切手の抹消はかなり厳密に抹消印一回で行われたことが分かっています。例外となる「日付印抹消」や「抹消印による二重押捺」「日付印と抹消院による二重押捺」はほとんど存在しません。

ちなみに当該期間に使用された消印の印影は全て判明しているので、このように切手全面に押捺されるものが存在しないことはわかっていました。で買ってみて画像加工した結果がこちら。

20180512_2.jpg

加工した画像解析の結果、二重どころか三重に押されていることがわかりました。三重押捺は、今までみたことがありません。もちろん単片上の抹消印ですから、どこまでありがたがるかは人により様々でしょうが、私は少なくとも「満月印撲滅運動」はしていませんので、この切手は一軍扱いして、将来スイス切手を8フレームで展示できるようになったら、堂々と珍しい消印バラエティとして展示しようと考えております。Rarity statementもつけてもいいかもしれないですね。

先月欧州・イスラエルに3週間ほど滞在した期間にドイツ・スイスで下見をし、彼の地で知り合った人々と話し感じたのですが、スイス切手コレクターはスイス中のオークションハウスを積極的に下見するものの、越境してドイツのオークションを下見することは稀だとわかりました。ハッカメイ、ゴゲール、ゼン、シェーファーと言ったビッグネームも同様だと思うので、米国やドイツにおける中堅以下のマテリアルからの掘り出しは今後も重視していこうと思います。



[ 2018年06月18日 15:01 ] カテゴリ:スイス | TB(0) | CM(0)

遂にバーゼルの鳩に遭遇

わずか20分の滞在で北に向かってます
[ 2018年05月22日 00:21 ] カテゴリ:スイス | TB(0) | CM(2)

Happy Birthday Swiss Stamps

本日3月1日はスイス切手誕生175年の誕生日で、RAPPオークションからはこんな動画が送られてきました。ドイツ語ですが英語表記もありますし、簡単なやりとりですから、どなたでも楽しめるでしょう。



こういうのをNo.1でもないオークションハウスが作ってしまうところが、スイス郵趣の懐の深さです。Corinphilaやdavid Feldmanも同社に刺激されて動画制作に数年前に取り組みましたが、完成作品のクオリティで言えば、遠くRAPPには叶いません。同社のフロアセールに一度参加しましたが、使用している機材が本格的でしたので、(おそらくスタッフも)その点からして違うのかもしれません。

なお、RAPPは、スイス(1843.3.1に一番切手を発行)は英国に次ぎ二番目に切手発行した国と言っていますが、私の定義では、米国が二番目です。(1842.2.1発行のGreig's Post=NY local post用切手)

また、初日カバーも豊富に残存している英国切手と異なり、人口もエリアも比べ物になら何くらい小規模なチューリッッヒだけの切手でしたので、初日カバーは一通も残っていません。そもそも3月使用が5-10通しか確認されていないと思いますので、その入手機会はペニーブラックのFDCよりもはるかに難しいと言えます。

[ 2018年03月01日 23:38 ] カテゴリ:スイス | TB(0) | CM(0)

ダブルジュネーブ初期?

20180220_1.jpg私のスイスクラシックで、チューリッヒやバーゼルに比べて格段に弱いと言われていたジュネーブですが、韓国世界展以来の4年間でそれなりに補強し、Wrong Cut二点や重量便、過渡期のカバー、珍しい消印など、それなりにそろってきました。

加えてオンピースでも良いので初期の使用例を入手するように心がけています。初期に該当するか否かについては、Schäferの書籍にまとめられているので、実は日本切手よりも簡単明瞭です。そんな中ある日ドイツのローカルオークションに出ていたのが、このきったないオンピース。カットインもしていて、普通なら手を出さないマテリアルです。

記述は下記の通り。
5 C. schwarz auf gelbgrün, linke Hälfte der "DOPPELGENF", farbfrisch, oben berührt, links teilweise Lupenrand mit besonders schön zentrisch aufgesetzter roter Genfer Rosette auf Briefstück mit beigesetztem K2 "GENEVE 1.NOV.58.". Eine frühe Verwendung dieser Ausgabe! Fotoattest Alain von der Weid/SBPV. SBK 12000,- Sfr.
ダブルジュネーブ左側5c 緑紙に黒で印刷・・・ふむふむと読んでいって、最後の部分で目が点になりました。1858.11.1のジュネーブ印。

この切手は、1843年9月30日発行で、1849年には統一郵政の切手が登場しますから、仮に1858年の使用例などがあれば、大変なことで、少なくともこれまでには知られていませんから新発見ですが、私はディスクライバーの読み間違いもしくは誤植を疑いました。なぜなら、消印が1843年当時に使用されていたものだったからです。案の定、年号の下2桁は58ではなく、43でした。カントン収集家ならわかるのですが、ジュネーブの4の数字は4に見えづらいので、その点もポイントです。

そもそもダブルジュネーブの初年度使用例は、カバーの状態では9通しか発見されていませんし、その大半が11月、12月使用例で、10月は確か1通だったはずというデータが頭の中にあったので、このオンピースは暫定二位という古い使用例になります。

実はペア(市外便)よりも単片(市内便)の方が珍しいので、もう少し大きなオンピースで宛先まで読めればさらに珍しさを訴求できますが、さすがに、これだけでは2枚貼りの部分である可能性を否定できません。とはいえ知識のある収集家にとっては説明のしどころ満点のマテリアルですし、熟練のエグジビターにとっては、いかに魅力的なピースであると審査員に思わせるかという点も楽しみな使用例です。

スイスクラシックの入手先の大半は、スイス国内のディーラー及びオークションハウスになりますが、丹念に米国やドイツなど外国のオークションハウスを当たっていると、時々こうしたラッキーに出会います。スイスカントンの大物コレクターのハッカメイさんやゴゲールさんは、このような地道なネット活動をやるはずもないので、このあたりで頑張ることは差別化の一つです。まぁ気長にやります。





[ 2018年02月20日 14:34 ] カテゴリ:スイス | TB(0) | CM(0)

耳紙付きチューリッヒ6

ヨーロッパの切手を集めているので、米国のオークションハウスを使うことはあまりないのですが、地域間地域間情報格差の大きいフィラテックオークションの中級品では、時に面白いものが出てくることもあります。スイスクラシックは、世界中の人種から収集価値を認められている切手ですので、アングロサクソンの収集家も多いとは思いますが、それと同じくらい、ドイツ・スイスから移住した収集家も米国には多いことが背景にあります。

20180206_01.jpg

今回のマテリアルはそんな中after-auction-saleで残っていたもので、100USD値引きして購入しました。6ラッペンはリコンストラクションをするくらい集めている切手なのですが残念ながらこれは既に持っているポジション10です。ただ、右マージンがここまで大きい単片はチューリッヒでは珍しく、これがCorinphilaでフィーチャーされたらそれなりのお値段でしょうから、それをunsoldロットの値引きで買えるのでは、やはり定期的な米国オークションハウスのパトロールが必要だということを改めて感じます。(実際にはPhilasearch見ればいいだけですが)

耳紙を見ると、この切手が二色印刷であり、赤い背景線が引かれており、しかもそれは等間隔でないことがよくわかると思います。


1843 ZÜRICH 6 with red vertical background lines, pos.10 with right margin
tied by black ZÜRICH rosette
[ 2018年02月12日 06:10 ] カテゴリ:スイス | TB(0) | CM(0)

欧州のオークションハウスについて

このブログでも何回か書いているRAPPオークション。

僕が参加したのは一度だけですが、その驚きの様子を口で言ってもなかなか理解してもらえないので、彼らが作ったプロモーションビデオが送られてきたので、紹介します。

3分近くでドイツ語ですが、要所要所に英語の字幕が入るので、国際展経験のある人ならなんとなくわかると思います。


RAPPは、一年半に一回しかオークションをやらないので、最近は、良いマテリアルは他社(特にCorinphila)に流れてしまっていると、スイスのど真ん中を収集しているコレクターとしては感じます。しかしながら、シャンパンを無料で飲ませてからの時間帯に開始されるスイスのロットものオークションは、嘘か誠か噂されている、皆がいい気になって高い値段になるとかならないとか・・・。

確かに先日のRAPPのスイスのロットものは、コレクターの僕ですら、業者に勝てない金額で次々と成約していきました。日本の酔っ払いオークションとは仕掛けも値段も桁違いに大きいことを改めて感じた次第です。

RAPPの手数料は22%ですから、日本のオークションハウスのそれ(16-20%)と比べるとやや高めです。しかし欧州では20-22%が主流ですが、ここまでパーティーをしたり、タダメシを出すのは、RAPP以外には経験したことがありません。せいぜいクッキー、スープ、パン、コーヒー程度でした。

今は、スタンペディアの各プロジェクトや郵趣振興協会の仕事に忙殺されていて、欧州をなかなかゆっくりできませんが、2、3年後には暇な時間を作って、欧州のオークションハウスをまたぶらつきたいと願っています。
[ 2017年12月20日 00:12 ] カテゴリ:スイス | TB(0) | CM(0)

やっぱり鳩が好き(最終回)

昨日紹介した、ちょっと疑問も残る不足料使用例とは異なり、今日紹介する後期使用は、ずっと欲しいと願い、ようやく入手がかなった一品です。

スイスは1849年の市民革命の結果、連邦化の推進が決定し、郵政も州郵政から連邦郵政に1849年10月1日をもってかわります。「変わります」とはいうものの、現業ありきの郵政、そんな短期間でやり方を変えるのは無理です。スイス連邦の切手もすぐには発行できません。なのにこの10/1から郵便料金を変更しちゃった。その結果何が起きたかというと、チューリッヒ州やジュネーブ州では、書状の差立てにあたり適切な切手が存在しない状態になってしまったのです。

スタンプレス時代に逆戻りなんて、状況が許されるのか?と思ったのですが、実は当時の人々の郵便差立てで、切手が貼られるケースはせいぜい一割程度だったのではないかという推測が現存する切手貼りカバーとスタンプレスカバーの比較から、導きだされています。つまり郵便料金に合致する切手があろうがなかろうが大勢には影響なかったと言って良いと思います。

そんな中である偶然がバーゼル州に起きます。

新郵便料金(市内便 2.5 ラッペン、市外第一地帯 5 ラッペン)に適応する切手は、チューリッヒ(4、6ラッペン切手のみ存在)やジュネーブ(5サンチームのみ存在)には存在しなかったのですが、なんと一枚しか切手を発行しなかったバーゼル州郵政が出した唯一の切手「バーゼルの鳩」は、2.5ラッペンだったのです。

こうして、スイス国内すべてがスタンプレス時代に逆戻りする(か、もしくは過貼する)1849年10月1日以降も、ただバーゼル州においてのみ、切手が着々と使われ続けたのです。とはいえ、他の州に比べて規模の小さなバーゼル州ですから、この後期使用例は決して多くありません。なので、オークションカタログが到着する度に探していたアイテムで、ようやく展示する事ができました。

20140726_1.jpg

当初は、自分の期待以上の人気者だったために、斜に見ていた「バーゼルの鳩」ですが、こうやって色々と研究し、集めてくる中で、自分自身も愛着が湧いてきました。それはそもそもこの切手自体が製品として魅力的だからかもしれません。

でも、だいぶ集めては来ましたが、やはりマルチプルがないのは寂しいですね。価格が高いのでよっぽどのバーゲンでないと入手のチャンスはないと思いますが、ペアもしくはMix Frankingは欲しいですね。あと優先順位は下がりますが、初期使用例もしくは変わった消印の押されたカバーがあれば言うことなしですね。

ということで、PHILAKOREAに展示するスイスクラシック作品より、日本で人気のある「バーゼルの鳩」に絞って短期連載を書いてきましたが、本日で終わりです。
[ 2014年07月26日 21:33 ] カテゴリ:スイス - やっぱり鳩が好き | TB(0) | CM(0)

やっぱり鳩が好き(5)

世界で最初に不足料切手を最初に発行したのはフランスで1859年の事と言われています。
それまでの間は、スタンプレスカバーがまだ大手を振って流通していた期間も長く、封筒の表面に受取人から徴収する金額を赤字で書いており、そういった使用例が多数残っています。

今回紹介するカバーは、フランスの不足料切手発明の十年以上も前の1848年(そもそもフランスは切手すら発行していない)に、「バーゼルの鳩」が不足料切手として使用された例です。

20140725_1.jpg

このカバーは、スイスの片田舎のWilという街で年に一回オークションを開催しているRappの出品物からの落札です。このオークションハウスは手数料も22%と立派なのですが、昼飯はケータリング、晩飯はフルコースがタダで食べられるオークションで、夫婦同伴での参加者が目立ち、欧州のフィラテリーの社交性を垣間みた気がしました。でもジャパンスタンプの手数料より6%も多く取ってるんだから、それくらいの事しても罰はあたりませんよね。

少々脱線しましたが、そのWilまで行って、フロアでどうしても入手したかったのがこのカバーでした。国際展を意識してコレクションを作り始めると、カントンの展示で、フレームを奇麗に分ける為には、どうしたらよいか常に悩みます。僕の結論というか戦略は、チューリッヒ:2、ジュネーブ:1.5、バーゼル:0.5でした。

この中で最初に悩んだのはバーゼルの半フレーム=8リーフでした。切手が何種類かあるジュネーブや、5タイプ分類がデフォルトのチューリッヒと異なり、普通に考えたら一種類の「バーゼルの鳩」で、8リーフを埋める為には、製造面の研究だけでなく、変わった使用例を揃える事が不可欠だったためです。

「不足料使用なんて初めて聞いた!」ということで競って落としたのはよいものの、後々考えると、少々説明しきれない点もあるなぁとは思いました。また、スイスの他の郵趣家からは、「本当に不足料切手としての使用って言えるのかなぁ?」とも疑問を投げかけられたりもしました。まぁルックスはいいのですが、この辺りの理論武装をする研究をしないと、この先は行けないなと思っています。



[ 2014年07月25日 21:21 ] カテゴリ:スイス - やっぱり鳩が好き | TB(0) | CM(0)

やっぱり鳩が好き(4)

収集再開後ドイツやフランスを中心に収集していた僕が、スイス切手に興味を持ち始めてしまったのは、2010年当時目指していたコレクションと、その実現に非常に魅力的なロットの出現からでした。

当時僕が最も熱心に取り組んでいたコレクションは、「All the stamps of the world First Decade」という国内競争展ですら銀賞しかとれない様な作品でした。

このコレクションを作る中で僕は最初の十年の切手におけるスイス切手の位置づけがたいへん大きな事に気付きます。それは、州政府郵政を連邦郵政とは別個に考えるから余計際立っており、全体の三割近くを占めていました。ゼネラルコレクターであったため、未使用単片は持っているものの、それだけの量のスイス切手のカバーを入手するには手間も時間もかかると感じていました。

そんなとき、初めて参加したあるドイツのオークションの下見で、スイス切手の州郵政からSitting Helvetia までの使用例コレクションがあるじゃないですか。今回の連載初回に紹介したカバー始め、Double Geneve等も入っており、単片は使用済み中心というのも、全く重品が出ず、僕の状況には好都合でした。「これ手に入ったら一気に収集が進むなー」と思いつつも、入札日にはオアフへの旅行が入っている事が判明。初めてのオークションハウスだしメールで入れるのは危険だなーと思いつつ、物欲に負けて多少強気の札をビッド。

旅行中、知らない番号から国際電話がかかり、二度程スルーしていたのですが、最後出たら件のオークションハウスのCEOと名乗る人物が「今のビッドだと落とせないけど、もう一区切り上なら落とせますよ、どうですか?」という怪しさ百点満点の事を宣う。ところが泳ぎ疲れていた為か、電話を早く切りたくて「了解。ジャー一つ上でお願いします。それがファイナルビッドです。」と言ってしまいました。

その後うんともすんとも言わず、二週間後に東京に戻ってくると、その一区切りあげた値段でロットを落とせていた事が判明。まぁものが確かなら決して高くはないので、送金して、そのスイスロット(実際にはアルバム二冊)を入手したのでした。これが、ドイツのオークションハウス、ハインリッヒケラーのCEO ディーター・ミヘルソンとの出会いでした。その後、本当に最後迄競っていて、しかもその相手はスイスのクラシック専門業者のマルクス・ホネガーである事が判明。ホネガーは物はいいんですが小売価格が高い事でも有名なので、そこが競ってくるくらいだったので本当に良いロットだったのだなと状況証拠からも頷ける程、中身は良かったです。

ただ、カバー二通以外には関心なくしばらく経過して、「最初の十年」を見た、外国切手出品者の会・会長の伊藤昭彦さんから「あそこに出した物があるなら、それ以外をあわせて伝統コレクションを作った方がいいんじゃないの?」とアドバイスを受け、半年後にSitting Helvetia までの伝統郵趣としてはやや長い期間をまとめたコレクションの形成に挑戦し、JAPEX2011に初出品した作品がスタンペディア・エキシビションに展示されています。

この作品を展示した時にかなり多くの人から言われたのは「いやー、バーゼルの鳩が沢山飛んでいてすごい作品ですねー。」でした。僕としては非常に複雑で、展示を褒めて頂けるのは嬉しいのですが、むしろ一番注目して欲しいのは、Zurich 6 Rappen のマージナル5枚ストリップだったりしますし、ダブルジュネーブの未使用とカバーのセットも、単片しかないバーゼルの鳩と比べると一段上の次元でいいもんなんだけどなー、と思っていました。

そんな中で「バーゼルの鳩」で自慢の一品がこちら。

20140724_1.jpg

英国リバプールで印刷された綿取引のマーケット新聞がスイス銀行にバルクで郵送され、そこから個別宛先に「バーゼルの鳩」を貼って送ったという使用例です。当時のバーゼル州郵政には、書状より安価な印刷物料金は設定されていなかった物の、これは珍しい印刷物の使用例。そして、切手の貼付けはあくまでスイスからではあるものの差し出し地は国外ということで、非常に面白いマテリアルで、当時の「バーゼルの鳩」2リーフで最も、そして唯一自慢できるアイテムでした。

あれから二年半。日本の方に大人気の鳩の数も約三倍になりました。マルチプルとMix frankingがないね、というのは少しでも国際展をかじった方なら指摘できてしまうのですが、まぁそこら辺は焦らずじっくり進んで行きたいと思います。PHILAKOREA2014の前に開催される全日展にも展示しておりますので、良かったら是非ご覧下さい。




[ 2014年07月24日 20:18 ] カテゴリ:スイス - やっぱり鳩が好き | TB(0) | CM(0)

やっぱり鳩が好き(3)

さて、一口に三色刷りと言っても、当時の三色刷りは極めて原始的です。つまり、黒、青、赤のそれぞれの色毎に印刷版を作り、三回に分けて印刷を行いました。つまり理論的にはベンジャミン社は四色以上の印刷も可能な技術を持っていたわけです。

ちなみに、この印刷版は、枠の中に収めて印刷する形態だったようで、一回の納品が終了すると、中身は外されて、他の受注業務の処理に対応できるようにするために枠をあける運用がなされていました。

19世紀でも後半になれば、郵政から仕事が発注されれば、安定した収益が見込める事が経営者も推定できますが、ヨーロッパ大陸でスイスの地方政府の3郵政以外のどこも切手を使っていない1845年当時に、この仕事の美味しさを理解するのは難しかった事でしょう。納品終了と共に印刷に使われた版は外される事になります。

ちなみに「バーゼルの鳩」は1シート40面の切手ですので、枠に40個の版をはめ込んで、各色の印刷が行われました。ということは、取り外すと120個の小さな版が出てくる事になります。

予想もしない再発注がバーゼル郵政から来ると、この120個の小さな版を取り出し、印刷用の枠に再度あてはめて印刷を行います。昨日も書きましたが、版の中には版欠点があるものもあります。赤の版欠点、青の版欠点、黒の版欠点、それぞれの組合せが、初回印刷と同様になる確率は恐ろしく低い数値です。

この研究を進めた結果、現在では、一版と二版の分類をできる切手が増えており、それぞれの版において、Positionもある程度推定できるまでになりました。このページでは、第二版の変種をポジション情報と共に展示しています。

20140723_1.jpg

「バーゼルの鳩」のポジショニングの研究は、友人のオリジナルスタディであり、僕はその恩恵にこうむり、国際競争展への展示だけでなく、スイスの国内展も含めて、世界初の展示を行っています。昨年のバンコク展では、版欠点の表示方法が下手だったため、現地でご一緒した小判切手の世界的収集家である設楽さんにアドバイス頂いた、鎌倉さんの「震災切手」(金賞受賞作品)の版欠点の展示方法を学び、それを採用しました。

ポイントは切手より説明図を目立たせない為に原則としてカラーを使用しないということで、Photoshopのグレースケールを使用してみました。

ちなみに、このページは、第二版の版欠点の説明に終始している為、消印について全く語っていませんが、二段目右の切手には、長方形の枠内にFRANCOと表示された消印が押されており、ちょっと珍しかったりします。左上から二つ目の黒の斜線の消印もこの切手に押される事は多くはなかったため、ちょこっと珍しかったりします。

ただ、カバーではないので、まぁそこまで主張しなくてもいいかな、と思い、単なる使用済みとして扱い、説明は製造面中心にしました。
[ 2014年07月23日 20:02 ] カテゴリ:スイス - やっぱり鳩が好き | TB(0) | CM(0)
このブログの筆者

スタンペディア

Author:スタンペディア
オンライン世界切手カタログを作っています。

スタンペディアの出版物
ブログ内検索