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これからの郵趣文献について

昨年一年は、切手の収集に加えて、郵趣文献の入手につとめた一年でした。
雑誌・単行本とも日本の郵趣文献もかなり揃いましたが、それ以上に大きかったのは11月にドイツのマインツで開催されたHeinrich Koehlerの文献オークションに参加して輸入した段ボール箱にして8箱程の郵趣文献です。

しかし、これらの読書をしようとしたらいくら時間があっても足りません。大半の文献は開いてもいないのが実情です。でも買ってから5年間ほど開いたことの無かった「日本切手名鑑」も全日展に出品した内国葉書の郵便史作品のリニューアルにあたり、より正確な記述をするための後付けとして開くことが最近は度々あります。

ということは、郵趣文献は、(特に過去に発売された物を入手する場合は)事典・辞書的な使い方が念頭に入手しているといえます。Corinphila&Koehlerが出版しているEditionDorやMonteCarloClubのコレクション集も大半の巻は開いてもいませんが、でもスイスのコレクションを作るにあたりより過去のマテリアルをチェックしたいときは、ばーっと見返しています。

しかし、だとすると、このリファレンス的な使い方に、これだけのスペースを取るのはあまり効率がよくないということも気づいています。ROIが圧倒的に悪いのです。

1980年代以降の郵趣、すべてのフィラテリストと日本フィラテリー、スコット切手カタログ、これらについては、僕は全てスキャンして、iPadやPCでPDFとして閲覧しています。「自炊」については色々な考え方があるのは承知していますが、僕は、自分が所有する書籍であり、スキャンした結果を自分でしか使用しないのであれば、どう利用しようが購入者の自由だという立場を取っています。自炊をするときには、背表紙を裁断してしまうので、自炊後の雑誌・文献はそもそも転売もできませんしね。逆に言うと、入手がそれほど簡単でない文献(=市場価値の高いもの)や思い入れの深い文献(日本切手名鑑、JPSのスタンプクラブ全巻揃い)については、中々自炊の踏ん切りがつきません。



ところで、ここでこれからの郵趣文献のあり方の議論を始めたいと思います。
郵趣情報のネット配信がこれだけ増えているにも関わらず、郵趣文献のビジネスモデルはあまり変わっていない気が僕はしています。そしてそのモデルは出版社も著者も儲からず、印刷会社と倉庫業者が儲かるモデルになっているのではないかと僕は考えています。

実際、日本切手のスペシャリストとはとうてい言えない僕が、日本で発行される切手の会報に費やすお金は年間で5万円くらいになっていると思います。(JPSや日本で運営される外国切手の会も含む)これはおつきあいとか交流を目的にするお金として僕はとらえているので、別にそれが高いとかそういうことを言いたいのではありません。
しかし、お金を取る側からすると、取る以上は会報を発行せねばという事もあり、毎週のように色々な会報が届きます。そして、面白いコンテンツももちろんありますから内容にも満足しています。

しかし、会報の発行者の疲弊やほとんど手元に残らない利益を考えると、そこまで無理して会報を発行する必要があるのだろうか、と思うこともしばしばあります。また、会報を発行するにせよ、PDFでいいんじゃね?と思うこともあります。

また紙の郵趣文献の最大の問題は保存と検索という観点から効率が悪いと言うことです。保存スペースを多く取る問題は大半の郵趣家にとって悩みの種であり、その結果、アクセスしやすい書棚に分かりやすく並べることができなくなります。一部の文献は段ボール詰めになってしまい、アクセスすらままならないでしょう。また、内容がリスト化されていないと、かつて熟読した文献でない限りは、探すことがたいへん困難になってしまいます。

もちろん僕がここで思っているのは、紙の郵趣文献をやめてすべて電子化しろ、というような議論ではありません。
ビジネスのやり方の観点で考えれば分かると思いますが、トランジット・ピリオド(=移行期間)を考えずにアウトプット形態を大幅に変える様な事業の進め方でうまくいくようなビジネスはないと思います。IT産業においてすらそうです。

ですから、今後の郵趣文献を考える上で大事な事は、購入者が負担してきた、印刷費や在庫の倉庫管理費をいかに減らして、
(1)著者・出版側の損失の極小化(利益が確保できればなおよい)
(2)購入者の負担の減少
(3)お金を払ってでも紙媒体で読みたい層への提供の継続
という観点から電子化を進めるのが僕の取りたいアプローチです。




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[ 2013年07月07日 11:23 ] カテゴリ:opinion | TB(0) | CM(6)
ロータリークラブの電子化との比較
ロータリークラブは108年の歴史ですが最近は電子上のクラブとか会報とかも増えています。
会員に印刷業・倉庫業・運送業もいますので会報を電子化していないところのほうが多数ですが。
会費制クラブで、これから立ち上げる場合は全面電子化を前提にしていいでしょう。
[ 2013/07/08 12:01 ] [ 編集 ]
米国郵趣協会の例
はじめまして。スタンプクラブ世代で米国に在住の者ですが、当地American Philatelic Societyは、ホームページから会員番号と暗証番号を入れると、月刊の機関誌が2007年まで遡ってPDFで閲覧できます。郵趣については同様な対応があったらいいなとか、同誌やフィラテリストのバックナンバー、その他多くの絶版本で資料的価値の高いものが電子書籍でも販売されると、今までになかったような需要が開拓されるだろうになとか、思っていました。たまに帰国した時に目白の図書館でまとめて調べてJAPEXを目指したりしていると、特にそんな願望を強く感じます。
[ 2013/07/10 10:14 ] [ 編集 ]
APSの事例
中野様APSの事例を教えてくださいましてありがとうございました。APSは既に退会しておりましたので、PDF閲覧サービスは存じ上げませんでした。2007年までしか遡れない様ですが、仕組みだけでも是非参考にしたいと思います。
これからも何かよいご要望などございましたらお聴かせください。
[ 2013/07/10 13:15 ] [ 編集 ]
私は、日本関係が中心ですが、もう40年以上郵趣、郵便関係の文献の収集をしています。基本的には出来るだけ購入時の状態で保存することにしています。繰り返し見る、読むことが予想される場合は、2冊購入しています。従いまして、保管場所が、スペースが頭痛の種です。壁面全てを書棚にした部屋を作りましたが、もうすぐふさがってしまいそうです。今のままでは、数年後には確実に満杯になってしまいます。何しろ増える一方ですから。収集、購入を溜めるか、一部を処分しない限りは。
[ 2013/07/18 20:26 ] [ 編集 ]
スペースが頭痛の種
岡藤さん、状況が私と一緒でお気持ちがよく分かります。
最初書棚を用意したときは、これだけあればいくらでもOKだぞ!と思ったのも束の間。あっという間に書棚は埋まり、二重に載せたり、手前の空きスペースに立てかけたり、苦肉の柵を繰り出してはいるのですが、そうすると書籍が落ちたり見えにくくなったり・・・。
単行本の専門書以外に、すごいペースで増え続けるのがオークションカタログと雑誌で、特に海外のオークションカタログの分厚さは半端ありません。雑誌はもはや捨てるしかない状態です。とっておかないと後悔することも多そうですが・・・。
先日、中野様が書いていらっしゃった様に、一部の雑誌やオークションカタログでアーカイブをデジタルで入手できるものについては極力、実物は処分するようにしています。
そうしないと、もはや一つも追加できない状態です。しかも売る時は相当安くつけないと売れないんですよねー。Amazonみたいに書籍のマーケットプレイスがあっても良さそうですが。
[ 2013/07/19 05:44 ] [ 編集 ]
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[ 2013/08/22 01:21 ] [ 編集 ]
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