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競争展への新しい出品者定着の為に必要な事

昨年秋に開催されたJAPEX2015の最大の特徴は「(ワンフレーム部門でない)レギュラー部門に例年にない多くの新規出品者がいた」事でした。
切手ブロガーの中には統計を知らない方もいるようで、「競争展にはいつも同じ顔ぶればかりで新規出品者がいなくてつまらない」という意見も散見します。しかし数の数え方を知っていれば、その意見は正しくない事がわかります。
ただ、その出品部門がレギュラー部門ではなくワンフレーム部門であることだけが私の気になることでした。

レギュラー部門の新規出品者のうち4名は友人で、事前に出品を教えていただいていた方たちでした。途中で相談を受けた方もいましたので我がことのように嬉しく、The Philatelist Magazineの第9号で対談を設けたのは、読者の皆様はご承知の通りです。当該対談は大変好評でしたので、そこに掲載しなかった、あの記事の作成に至るまでの私の考えを本日は記載したいと思います。


《郵趣振興にプラスにならないと過去に感じた意見》

過去の二大競争展のあとには必ず「知っている出品者ばかりでつまらない。新しい出品者が出すべきだ」という批評にすらならないボヤキを言う人間がいて、郵趣振興を進める立場から私は首を傾げていました。理由は二つあり(1)出品作品のTreatmentが同一でない限り作品内容は異なる(2)そのような批評こそが新規出品に対するプレッシャーをかけているからです。

(1)については、出品者が誰であるかは比較的重要度が高いかもしれない要素の一つではあるものの、原則として出品者の解説が付随しない二大競争展において主役は展示リーフならびに包含される郵趣マテリアル等であるからです。私の友人にペニーブラックに始まる英国クラシックとトピカル「桜切手」の二つを収集・展示している人物がいます。しかし当たり前のことですが、同一人物の出品であっても、ヨーロッパクラシックとトピカル作品とでは趣が全く異なるため、出品者名を最初に見ない限り「同一人物の作品だからつまらないなぁ」という感覚に至ることはありません。

郵趣振興するにあたり、初心者やライト・フィラテリストのニーズに合致したプロモーションが必要であり、できるだけ種類に富んだ適切な展示がなされるべきだと私は考えています。とすると競争展の点数の高低に限らず、きちんとしたストーリー立てがされた、美しい作品はゼロサムゲームにならない限りなるべく多くされるべきだと私は考えており、そのような出品が可能な方はぜひ前向きに考えて欲しいと思いますし、外野は無意味なバージン信仰の有害性に早急に気づくべきです。

全日展はギリギリですが、少なくともここ数年のJAPEXではゼロサムゲームは生じておりません。一昨年のJAPEXには6作品を出品された方が2名いらっしゃいましたが、彼らが1作品ずつしか出品しなかった場合に増加する新規出品者数は一人もいません。ただ単に切手展全体の展示作品数が10作品も減少し、規模が小さくなり、ライトフィラテリストの関心に刺さる作品にであう機会を減少させるだけです。(経済学でいうところのゼロサムゲームの解説はリンクを参照してください。)

(2)については、今回複数の初出品者の方から、「出品すると色々なことを言われ書かれるのは、過去に出品してこなかった理由の一つだった」旨の発言を聞きましたが、そのような感覚を持つのは至極まっとうだと私は思います。

そもそも二大競争展の新規出品者が少ないというのは正確な認識ではありません。昨今の競争展の出品者名はインターネットで公開されていますので、(1)WEBを見る技術および(2)数字を「正」の字にして数えていく技術の二つがあれば、一昨年のJAPEXにおいてもある程度の新規出品者がいたこと、そして昨年もいたことは明白です。



《新しい出品者の定着の為にすべきこと その1》

このような認識を持つ私にとって「新規出品者少ないなぁ」という誤った認識に基づく危機感は全くありません。その代わりに郵趣振興を行う立場から感じる危機感は次の二つに代表されます。(1)ワンフレーム部門への偏りが大きい(2)初出品が二度目の出品につながらない。

(1)の理由は明白で、リーフ作成に慣れない新規出品者にとって、複数のフレームから構成される作品作りは大変だからです。実際今回初出品の方で5フレームを展示された方もおられましたが、3フレームを作るのもたいへんだった、という方も多く、自分の初出品時を考えても同感です。となると1フレームで出品可能なワンフレーム部門にエントリーしようというモチベーションが働くのは当然のことです。しかし競争展のワンフレーム部門ほど難しい部門はありません。なぜならワンフレームでしか展示できない対象を展示しなければならないからで、そのような対象は非常に限定的だからです。伝統郵趣であれば、私は過去にスイス一番切手シリーズ(JAPEX2012)やメクレンブルグ=シュベリーン公国(全日展2015)を展示しましたが、審査員から前者は2フレーム以上で国際展展示がされており、かつスイスクラシックとして展示が可能であることを、また後者も2フレームでの展開が可能であることを指摘されました。その通りだと思います。

日本切手でJAPEX2015では5円鎌足が展示されていましたが、あのような作品はこのテーマに即した作品で、同一のテーマを考えてみると、「旧高額切手のみ」のワンフレーム(字入り含む)とか「5厘コイル切手のみ」のワンフレームとかが思いつきました。金銭的にも入手機会的にも難しいテーマだと感じます。郵便史やテーマティクのワンフレーム作品のテーマについては、テーマを限定することにより、むしろもう少し設定が可能になるかと思いますが、これについてもなかなか難しく、JAPEX2015の作品においては、常に私にご指導くださる三重の小坂さんの作品「戦後の外国航路 船内郵便局(1959-1971)」がこの分野にふさわしいテーマのように感じました。

上記(1)の理由により、大半のワンフレーム作品は、競争展のワンフレーム部門のTreatment & Importance点を大きく失いがちです。書き込み知識が足りない、リーフ作りが下手、珍品が少ない、展示物の状態が悪いなどの指摘は次回に向けて改善が可能ですが、Tr&Imは、クラウゼビッツの「戦争論」で言えば戦略の失敗ですので戦術では取り返しがつきません。従って、多くの人は予想以上の低評価をもらう結果につながります。初出品で大金賞を目指す人は少ないと思いますし、銀賞や銀銅賞でも満足する人が多いかとは思いますが、それにも増して「どうしたらいいんだろう」という次への改善に繋がらない結果になってしまうのだと思います。

私は過去に色々な雑誌で何度も「ワンフレーム部門は難しい」旨を書いてきました。今年の二大競争展を目指す方にも改めて伝えたいのもワンフレーム部門の難しさです。幸いJAPEXにはフルフレーム部門の例外規定として、1フレームでの出品が初心者のみに認められています。この措置は私は高く評価しており、二大競争展の比較において、JAPEXが全日展より優れている点の一つとカウントしていますが、同規定をさらに推し進めて、審査員を含む運営側の判断でワンフレーム部門からフルフレーム部門の1フレームへの移行をできるように規則改定を検討して欲しいと思います。

前段が長くなりましたが、このような理由で今回初出品された4名の方がフルフレーム部門であり、いずれの方も今後の収集に向けて高い満足度を持たれていたことに喜んでいます。



《新しい出品者の定着の為にすべきこと その2》

アイディアは宝だ、アイディアこそ金になる、という事は昔から聞いてきましたし未だにそれが通用する世界もあるかもしれません。しかしITベンチャーを経営していた私からすると、今はどのようなアイディアも具現化が可能だということです。未来物語を語るITエバンジェリストよりも、それらをサービスとして具現化し企業とした人間の方が巨額の富を獲得している事実は、アイディアを出すだけではダメで、実際の結果を得なければアイディアには何の意味もないことがわかります。

私は郵趣振興も同じだと思います。

少なくとも私は郵趣マーケットを未来永劫右肩下がりのマーケットとは捉えていないため、建設的な意見や具体的な代替案以外は聞くに値しないと考えています。

昨年の全日展閉幕後に驚いたことは、全日本切手展2015実行委員会の副委員長である山崎好是氏が自分の経営する会社の発行する雑誌に、全日展2015が公益財団法人 日韓文化交流基金からの助成を受けたことを批判した記事を掲載したことです。なおその議論は当該助成金額について具体的な代替案を掲載していないため、私は同案に対して低い評価をつけました。

自由な言論を行いその中で良い意見を見つけていくことは、健全な郵趣の振興の上で大いにプラスになると私は考えています。その中には高く評価できる意見もあるでしょうし、今回の様に残念な評価しか得られない意見もあるでしょう。しかし私が山崎氏の行為で問題にしているのは閣内不一致です。

仮に私が実行委員会内部に居て同様の意見を持ち、最終的に実行委員会の決定と異なる意見を私の経営する雑誌に掲載するのであれば、日韓文化交流基金からの助成金額と同額の資金の提供を申し出るか別の後援者を紹介します。そして、それができない場合は同チームを去る決断をします。それが経営というものではないでしょうか。

全日展の運営資金の捻出にあたり、私の経営する会社も2年連続して協賛金を支払っています。またそれとは別に入場者に配布するパンフレットに広告も掲載しています。
これは同切手展の実行委員長である内藤陽介氏の展覧会運営に対する考え方が当社の社是である「30年後の郵趣人口の確保」に合致すると考えたからです。副委員長の行為は我々協賛スポンサーに対しても説明のつかない行為だと感じます。
この一件を持って当社が全日展の協賛をやめることはまだありません。しかしながら全日展2016については是非実行委員会で一丸となって、強い経営をしていただきたいと思います。


「新しい出品者が増えないとダメだ」という意見も誤解に基づくボヤキなので、その時点で既に無意味なのですが、百歩譲って新しい出品者がいないとしても、ボヤいただけでは新しい出品者が出現しないという点で無価値です。
さらに言うならば、このような発言が出品に慣れていないフィラテリストのまだ微妙な心情に対して無用な心配の種を増やしており有害だと思います。

今回対談を行い、新規出品を決断した人にきっかけを聞いてみて、切手展というのはマテリアル以上に人の交流が魅力であると同時にきっかけであることに気づかされました。

そこで、当社は出版並びに情報サービス業ですので、紙や電子メディアで競争展の魅力や出品のノウハウを広めていくことを一番に行いますが、その延長上であるにせよないにせよ、フィラテリストでまだエグジビターになっていない人に対して、競争展に関する話題を伝達していくこと等も合わせて実施していくことにしました。

具体的に決まっていることでいうと、「初心者コレクターによる競争展コレクションの作る方」シリーズの刊行(2/1発行予定でしたが現在遅れています。)「リーフ作成に欠かせない郵趣文具のAmazonでの販売開始」「競争展出品を前提にしたノウハウをまとめたHPの開設(6月ごろをめどに)」などです。

このような具体的な施策を一つ一つ実施していくことで、競争展への新しい出品者の確保及び初出品者の定着の両方が実現できればと考えています。またその活動の中で、施策の過不足が見えてくれば微調整して進めていきたいと思いますので、建設的なアイディアをお持ちの方は是非お聞かせください。(出品者、審査員はもちろん、運営側の意見でも構いません)

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[ 2016年02月07日 18:00 ] カテゴリ:未分類 | TB(0) | CM(1)
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[ 2016/02/10 19:54 ] [ 編集 ]
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