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木戸くんの作品「Ryukyu Postal History1953-72」について

友人の木戸裕介君より、彼の作品「Ryukyu Postal History1953-72」へのアドバイスを求められました。
私は国際展審査員資格を持っていませんので、「参考にならないよ」とお断りしたのですが、どうしてもとの依頼だったので、二つ条件を出し(1)指導ではなく、僕だったらこうするという戦略としてなら答えられる(2)ブログでの返答とさせてもらう、の二つとも彼が受け入れるとのことなので、本ブログに記載する次第です。

まず彼の作品について概要を記載しますと、JAPEX2015に展示された8フレーム作品で、琉球の郵便史を取り扱った作品で大銀賞(70pt)とのことでした。また出品作品のタイトルリーフにおいて、タイトルを書き間違えるミスを犯したため、5点近くの減点があったとのことです。ご本人が国際展での闘いを前提に考えておられるので、僕の立てる戦略もそれに沿ったもので以下に述べたいと思います。


1.改善ポイントを知る為に国際展審査員に相談すべき
前段の内容を読むと国際展への出品資格が得られる金銀賞を実質的に獲得しているようにも思えますが、同作品を全日展に出品してそのまま75pt.が獲得できるかというと、そうは問屋がおろさないと私は思います。

なぜかというと全日展の審査はより国際展審査基準に即しているため、その観点で本作品に対してVermeilという国際展出品資格を与えて良いという判断をしてくれるか否かをきちんと見られてしまうからで、JAPEXと同様の審査結果になるとは限らないからです。

以前のブログでも書きましたが、真剣に作っている作品の改善の為には主催者が用意したジュリーアプレイザルだけでは(特にJAPEXは)不十分です。国際展での闘いを考えるのであれば、複数の国際展審査員資格を持つ人にアドバイス(セカンドオピニオン)をお願いすべきだと私は思います。

また私の経験上、国際展審査員資格を持たない会場で会う郵趣家からのトリートメントやレアリティ・コンディションに関するアドバイスは、国際展で闘うことを前提にするのであれば、多分ちんぷんかんぷんなものが多いと思います。これは自戒も込めています。発言者をよく吟味して意見の取捨選択をしないと徒労に終わります。これは競争展がルールに基づく競技であり、流行の流行り廃りがあり、その大半が欧米発である事が原因です。

ということで、僕が木戸くんなら国際展審査員でもない僕のような人物に聞くのではなく、国際展審査を郵便史についてもここ数年できちんとされている、経験豊富な国際展審査員に、しかもできれば異なるバックグラウンドを持った複数に、まずアドバイスを求めます。

なお蛇足かもしれませんが、木戸くんがもしJAPEXでのリベンジを考えているのであれば、上記とは異なるアプローチをしなければなりません。これはJAPEXの規則が国際展ルールに準拠することを宣言しているにも関わらず、必ずしもその準拠ができる審査員のみで構成されているわけではないためです。

以前のブログでも書きましたが、どのような質であろうが、競争展審査員は絶対であり、競技者として競争展に参加する以上は敬意を払うべき相手です。どんなに国際展の現状と比べておかしな指摘を受けようが、木戸くんが出席したクリティークで伝えられた内容をできる限り改善に盛り込んだ上でJAPEXには再出品すべきで、無闇なダブルリーフがダメだと言われれば、それに対応すべきだと思います。このようなJAPEX対応を取らなければ、国際展ルールに則ってここ数年運用されていることが確認できるテーマティク部門を除き、当面のJAPEXでのリベンジは難しいのではないかと思います。


2.審査員を教育せよ

"Educate Jury!"

これは私の言葉ではありません。
Malaysia2014に行徳さんが出品された戦後の速達を取り扱った作品に対して、ジュリーアプレイザルで香港籍の審査員アンドリュー氏が行徳さんに言っていたフレーズです。

審査員に対する陰口としてよく「審査員は何も知らない」「こんなことも知らないのに審査員なんて、大したことないな」という発言は(以前ほどではないにせよ)時々、聞きます。これはある種審査員神格化の裏返しなのかな、と思いますが、発言者に少しでも郵趣の範囲の広汎性について理解があればでてこない発言であり、蛸壺化したコレクターがしがちな発言だと感じます。

全世界で70万種類も切手が発行されており、非常に様々な郵便制度や運用があるわけです。新しい審査員であれば、最近10年を越える過去のめぼしい作品以外は審査員として接触もしていないわけですから、そこででてこないめぼしくない作品や英文の情報発信が広くされていないテーマに対して知らないことは何ら罪でないですし、国際展審査員資格を与えるための条件にすらなっていません。

例えば極東の限られた時期の郵便制度について知識があるかとヨーロッパの一流の審査員に聞いたとしても、それが近年、英文で情報も発信されず国際展にも出品されていなければ、「何、それ?」状態だと思います。

ではあるコレクションの重要性や珍品が審査にあたり、素晴らしいと審査されなかった。このような場合誰が悪いのでしょう。これに対しては100%に限りなく近く出品者が悪いということになります。なぜなら出品者はタイトルリーフはもとより各リーフにおいても、説明を通じて理解および説得が可能であるにも関わらず、その努力を怠ったか、もしくはうまくこなせなかったからです。

時々、コレクションでどれが珍しいかを書くのは嫌らしいからしたくない、日本人の美学なのだ、という人もいますが、不作為を美化する自己弁護の理由にされるほど、日本人の美学というのは簡単なものではないと私は考えています。

私は日本人としての美学を生かして、嫌らしくなく書くことに努力したいと常々考えて、その英語表現を磨きに国際展を参観しています。それでもまだまだうまくやることはできません。日本人の美学を語ることはそれくらい難しいことだと思います。

さて本題からずれましたので元に戻りますと、世界のクラシック切手やクラシックに片足突っ込んでいる日本初期の切手であっても有名どころ以外は理解してもらえないことがわかったと思います。木戸くんの収集展示範囲も同様で、誰もやったことのない道ですから無条件で高いImportanceを与えてもらえるはずはありません。

だからこそimportanceを上げるための戦略を練るべきです。
郵趣記事を書く、英文で情報発信する、改善して何度も審査員に訴え続ける、いろいろなやり方があると思いますが、常に念頭におくべきは、!Educate Jury!"というアンドリュー氏の一言だと思います。

何もせずに30、40年たったら時代も古くなるし勝手にImportanceが上がるかもしれませんが、「収集は年季」の「年季」は時間かける活動量の「積」だと思いますので、無闇に時間をかけずとも短期間に大きな活動を行うことで、その積を大きくすることは可能です。そして、少なくとも国際切手展ではそのような試みは評価されると私は感じています。


3.類似作品に当たれ
今年11月に刊行された、Stampedia Philatelic Journal 2015にテーマティク記事を書いていただいたスウェーデンのヨナス・ヘルストローム氏は、伝統郵趣や郵便史にも造詣が深く、(逆に言えば、その二つに詳しいからテーマティクに革命を起こせた)色々な作品を作っています。

昨年夏のPHILAKOREA2014に置いては「Swedish Postal History 1951-1972.」という展示をされており、国際展・金賞(91+L)を獲得していたので驚いて「どこがどう珍しいのか?」を本人を捕まえて解説してもらいました。3点しかない使用例も展示されていましたが、所詮は1970年代迄のマテリアルです。でも一流のフィラテリストの手にかかり、展示技術が素晴らしければ、ゴールドの可能性もあるのだとビックリしたことを覚えています。

これを聞いて「ヘルストロームだから金がとれるんだ」と言って何もしない人も多いと思います。そのような美化は簡単です。めんどくさくもありません。しかし彼もここまで来るのに時間がかかっており、多くのEducate Jury!活動をしてきていることがネットで検索するとわかりました。

木戸くんのやりたいことに最も近いことをやっている人がたまたまスウェーデン人だっただけのことです。日本人にこの水準に至るまで同様のことをモダンで突き詰めた人はいません。だとしたらダメ元でもいいから、まずはその作品を見て学び、できれば本人とコンタクトすることが木戸くんのやるべきことだと思います。そして、それは同時に日本だけでなく海外の(国際展審査員資格を持つ)人からのアドバイスを獲るということにもつながります。国際展審査員資格を持っていてPhilakorea2014の郵便史を見た人であれば、おそらく同じアドバイスをするのではないでしょうか。

以上3点が「アドバイス」ではなく、「僕ならこうする」という戦略です。
これを参考にして、木戸くんの作品が発展することを祈ります。
ちなみにヘルストローム氏ならいつでも紹介しますよ。来月には直接会いますから、木戸くんのリーフや手紙を持っていくことも可能です。

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[ 2015年11月23日 12:20 ] カテゴリ:未分類 | TB(0) | CM(0)
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