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JAPEXの審査票が届きました

帰国日に受け取った留置郵便物の中に、今話題のJAPEX審査票が入っていました。
2作品を出品しましたので、まずはご覧にいれます。

「Great Britain QV+4Kings」
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まず最初に申し上げたいことは、私はこの審査には納得できない点は一つもありません。
本作品は「ワンランク上のゼネラル収集」を目指したものでありますが、このため競争展の伝統郵趣のtreatmentから大きく乖離しています。TR&IMが21/30は恐ろしく低い評価ですが、さもありなん。自分の事前評価でも22/30と低く評価していました。

このようなTreatmentの低い作品を出した背景はただ一つ「本年の企画がペニーブラック175周年だったから」です。英国切手カタログも発行しましたし、盛り上げたかったのです。そして7フレームも展示させてもらうのに「競争出品にしないと無料になってしまうから」です。主催者の懐具合を知る身としては申し訳なさすぎたのです。

とはいえ、自分のメインとして収集しているジャーマンステイツや世界クラシックに比べると、そこまで思い入れがある分野でもないため、Treatmenの低得点を他のポイントで補うことができず、Studyが26/35、Condition&Rarityは23/30に留まりました。

審査員と出品者が知り合いである場合、出品者はどうゴマかしていくか、そして審査員は出品者のそれをどう見破っていくかという知的なゲームになります。しかし今回のゲームは有名な英国ということもあり、審査員にとって見破るのは簡単だったのではないかと思いますし、僕の分が悪かったと思います。

僕の事前予想は、Studyが24/35、Condition&Rarityは22/30でしたから総得点も含めて大きく外れていないと思います。本作品(英国)は、全切手を単片以上で揃え、かつその大半を未使用とした点でアピールはできたのですが、いかんせんマルチプルが少なすぎ、見た目が非常にシンプルな作品になっていました。より安価なマテリアルに関しては、きちんと収集していれば当然ブロックを持っていてしかりですので減点ポイントであることは納得できます。

低いTreatmentの作品を競争展に出品して良いスコアを取るためには、Treatmentのマイナスを跳ね返すだけの強烈なStudyやRarity&Conditionがなければなりません。そうしないと「ワンランク上のゼネラル」を目指したはずが「ワンランク下の専門収集の寄せ集め」になってしまいます。

比較までに僕が香港に出品した世界クラシックの作品は、これまたTreatmentの低い作品なのですが、とは言え主力収集範囲で時間をかけてマテリアルを収集し、研究しているため、Studyが30/35、Condition&Rarityが26/30と、それぞれ3-4点ずつ高い評価を国際展でいただけていますので、本作も極めればそこまで行く可能性はあります。

伝統郵趣ですので、珍しいキーマテリアルを頑張って収集し、価格の高くないものはコンディションに留意しマルチプルも揃え、その上でプレーティングや郵便料金について細かくリサーチしないといけないんですが、まぁ英国ゼネラルに、そこまで思い入れはないので、これが最初で最期になるでしょう。とにかく「ペニーブラック誕生175周年」企画を少しでも盛り上げられていたら嬉しいです。



「年賀郵便の歴史」
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こちらの審査票についても、実はほぼ納得しています。

ただ、そもそも論として「年賀郵便」というのは競争展の郵便史部門への出品として適切か否か、未だに私は否定的です。

「年賀特別取扱」の歴史であれば、プレも含めて郵便史として成立しますが、それは年賀郵便のごく一部に過ぎないと私は考えており、広義の年賀郵便を捉えるには裏面が不可欠。実際、年賀状として使用されたことが分かる紅枠ハガキ、脇付きハガキ、手彫切手カバーなどは希少なマテリアルです。しかしこれらの珍品は皆、競争展の郵便史部門におけるマテリアルとしては不適切であると私はルール上解釈しています。

これは同様なことを「暑中見舞郵便の歴史」や「寒中見舞郵便の歴史」「喪中郵便の歴史」と言ったように、文面コンテンツに絞った作品を作った場合、確かに知的で素晴らしい作品が出来上がると思うのですが、一方で競争展の郵便史部門の作品として適切かどうか、海外にアピールできるか、というと大いに疑問があると感じたからです。

本作品は僕の予想のワンランク上の金銀賞を今回取ってしまいました。僕が本作品を出した理由は「英国ゼネラル」同様に、年賀郵便が企画展示になっており盛り上げたかったのと、8フレーム出してただは申し訳無いだろうと思ったからにすぎません。しかし金銀賞の受賞により国際展にエントリーできる資格を持ってしまったのもまた事実です。

審査競技である競争展の賞というのは、人による審査である以上、誤差が生じるのは仕方ないことだと私は考えています。もちろんひどい誤審もあるでしょうが、誤審はマイナスに働くこともあればプラスに働くこともあります。そして誤審のマイナスを声高に主張する人の中には、誤審のプラスについて語らない人がほとんどです。

しかし今回の「年賀郵便の歴史」作品は、自分の専門収集範囲でないこともあり、冷静に考えることができます。
やはり金銀賞以上を出すべきではなかったのでは無いかと感じました。国内展における金賞と大金賞の違いなどは国際展を目指す人からするとあまり大きな違いではなく、より高かれば良い程度でしかありません。ただ、大銀賞と金銀賞との間には世界に出せる資格を与えるか否かという大きな差があります。JAPEXは国際展ルールに準拠することを宣言した切手展ですから、それを返上しない限りは金銀賞以上の授賞にあたり、この点は考慮しなければなりません。ですからこの点は違和感を感じました。もちろん高い方に評価していただいた場合はラッキーと思わなければなりません。

本作品を出品したもう一つの理由は、JAPEX85記念出版の「年賀」という書籍(「New Years Mail 1847-1985」という副題のついた赤色の書籍)を見て、その展開が郵便史とかいう次元以前の、単調な経年式の毎年数通ずつ展示する形態を取っていたことに編集者魂が反発して、年賀郵便ってもっとダイナミックに描けるんだぞ!と考えて数年前からマテリアルを収集していたことにあります。(たまたまそれにJAPEXの企画展示がぶつかった。)

会場での反応は見事に二つに分かれていて、
(1)明治16年はあったけど明治17年はなかったね、といったような経年式を取らないことをマイナスに捉えた感想と
(2)年賀郵便の歴史は、単調に年で並べるしかないと思っていたが、全く違うダイナミックなストーリーを楽しめた、という真逆の感想
があり、(1)の方が若干多かった気がします。

赤色の「年賀」本は、田辺猛著で読み物としては軽快で、実際今回の展示でも同様の展示をしている方を散見しました。ただしタイトルリーフにも書いた通り、年賀郵便は日本の郵便事業のドル箱でこれをもとに様々な経営判断がされていることを考えると、単なる羅列ではなく、ストーリーをつけてメリハリをつけた競争展でも通用する郵便史の展示が可能です。マテリアルの点でのマイナスが大きくとも、単調でない作品を実現したかったので、ご参観いただいた方から(2)のような意見を半分近くいただけたことは嬉しく思っています。

田辺猛著の「年賀」本が単調であるにも関わらず、30年も経た現在に影響を及ぼしているのが、年賀郵便を取りまとめた良著、特に作品集があまり世の中に出回っていないことが一因ではないかと考えています。ですので4割ほどの方にご評価いただいたことに意を強くし、私の作品「年賀郵便の歴史」を来年早々に部数限定で作品集化することにいたしました。もう一度ご覧になられたい方はもちろん、見逃された方も是非ご覧ください。田辺猛式・経年式の年賀郵便の羅列に飽きた方にはオススメの内容に仕上がっていると思います。



最後になりますがここ最近、主にクリティークを中心にJAPEX2015を非難する記事を見かけることが続きました。しかし私の場合は、本ブログポストに記載した通り、同展覧会への大きな不満はありませんし、むしろその通りだなとうなづくことが多かったです。

まぁ企画展示しかしておらずクリティークにも参加しないほどで、不満のブログを書かれた方々とは真剣度合いが違うからの余裕なのかもしれませんが、審査員・出品者ともに国際展ルールの勉強を不断に行い、日本の郵趣の水準を上げることが国際競争展関係者である審査員・出品者に必要なことは言うまでもありません。粘着質な個人批判などはご法度ですが自由闊達な論議を行い、改善すべき点は改善し、海外の流れを勉強することが双方に求められているのではないかと私は考えます。


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[ 2015年12月09日 09:00 ] カテゴリ:未分類 | TB(0) | CM(0)
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