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郵趣研究128号記事の件 その後

先月末、「池田さんのブログを拝見して(1)」をポストしました。
それに対して、池田さんと木戸くんから即座に二つのオピニオンが提示されました。

人の意見と異なることは恐怖ではありませんが、お二方のオピニオンは僕のそれとは正反対にぶつかる意見でしたので、僕の感情的な面が間違って入らないよう、少し時間をおいて回答することにしました。お返事に時間がかかりましたが、両ブログを受けての僕のオピニオンを改めて示したいと思います。


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僕の回答に入る前に、これまでの流れを説明します。
2/15:JPS副理事長の玉木淳一さんが、マナーの悪いJAPEX出品者に対して審査員が感情を元に特別賞を与えない評価をすることはあり得る、と執筆した。(「郵趣研究」128号(2016/2/15発行), JPS発行):後に、本発言はJAPEX一般規則第43条違反することが判明。

2/23:池田さんが、上記発言を問題視。ブログにてそのようなルールの曲解は問題であると指摘し、訂正記事の掲載をすべきだとの議論を展開した。

2/29:吉田がブログにて玉木さんを擁護。GREX範囲外の特別賞など些事であり、GREX範囲内さえきちんとやってくれれば良いのではないか、と意見。

3/01:池田さんが、吉田ブログを受けて、再度オピニオンをブログに掲示。特別賞の付与基準について、JPSは出品者に対してJAPEX一般規則で示しており、玉木さんの発言はこの規則と異なる運用を宣言したものだと、問題点の根拠を指摘。

3/02:木戸君が、上記討論を受けて自分の意見をブログに掲載。GREXとIREXの違いを分けることこそが些事である。JAPEX審査員が出品者に提示している規則を守らないことを明言したことは大きな問題で、得点審査も同様に提示された規則通り行われていないのではないかと、出品者としてショックを感じる、とコメント。


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さて、上記を受けて、再度僕のオピニオンを提示します。
大きく二つに分かれていて、一つは改めて玉木さんの発言を擁護することと、もう一つはJPSへの提言です。

「30年後の郵趣人口の確保」に向けて活動しているスタンペディアプロジェクトは優先順位をつけて活動しているプロジェクトです。そのプロジェクトを進める身として、僕は国内競争展が二つある現在の状態は維持したい立場です。つまり僕がJAPEXを評価している理由は、国際展ルールで審査されているからです。

そして、そのことさえ担保されるのであれば、それ以外の事は些事だと優先順位付けしています。
「優先順位をつける」というフレーズは若干綺麗ごとなフレーズな気がします。私がよくメンバーにする説明は「優先順位をつける」ということは「それ以外のことは一切無意味だからやらないと切り捨てるという意味だ」でした。

JPSが規則や規約を守れていないということは、池田さんの具体的なご指摘や、他の方のブログの記事を見て、なるほどおっしゃる通りだな、と感じました。この点はクロだと思います。

しかし、一民間組織が自分で決めた規則を守れているかどうかという点について僕は株主でなければ監督官庁でもありません。一ユーザー、また一会員として、本件がコンプライアンス上の問題として気になることはありませんでした。世の中にはダメな会社や組織はたくさんあります。でも僕は投資先としてJPSを見ているわけではありませんから、そこには興味がないのです。池田さんご自身も、彼らがルールを守れないことはわかっているのだと思います。それなのに、そんな過大な要求をしてはむしろ失礼ではないでしょうか。

株主以外にも利害関係者として、ユーザーだったり、環境の影響を受けるなどの立場であれば、問題だなと思いますが、何度も書くようにJAPEXの特別賞程度のことであれば、少なくとも僕は気にしない立場です。

であれば、GREXの範囲内のことをあえて恣意的な判断の範疇外と明示された、玉木さんの発言は国際展ルールに対する敬意を感じますし、その発言を擁護せずにはいられません。JAPEXが国際展ルールを尊重しないガラパゴスなローカル切手展になるのであればここまで擁護しませんが、玉木さんの発言はその真逆だからです。

また木戸くんの投稿で、GREXとIREXを分けることこそ些事ではないか、との指摘がありましたが、僕の立ち位置が国際展ルールにより運営される二大国内競争展の確保であることをご理解いただければ、なぜ両者を区別しているかがご理解いただけるのではないかと思います。

木戸くんは、JAPEXの審査員がJAPEX一般規則第43条の無視を「郵趣研究」に掲載したことで、GREX範囲内の審査もちゃんとやっているのか、と心配になったと書いていましたが、審査競技でそこを心配しても仕方ないのではないかな、と僕は思います。法律の世界では「推定無罪」と「推定有罪」があり、刑法の適用は前者です。僕は今回の件を国際展ルールの準拠という観点について「推定有罪」で玉木さんの発言を裁くのは反対です。

切手展に限らず審査競技において、審査員は相応な自由判断を任されています。そしてその中に国と国の問題や、組織間の問題、個人間の問題が持ち込まれる可能性が絶対ゼロだ、と明言などは古今東西を通じて全くできないと思います。国際展審査員であっても同様です。

玉木さんの発言があろうがなかろうが、審査競技において、完璧な審査は難しく、出品者が100%満足することもまずないと思った方が良いと思います。であれば出品者はどうすれば良いのか。
「You have to be tough, especially if you try to do something new.」一回一回の展覧会の結果に一喜一憂することなく(喜ぶのはまぁいいか)何度も継続して作品を改善していくことではないかと僕は思います。特に新しいことをしたいのであれば。(先の英文はシンガポールに出品したドイツクラシックの作品が7点マイナスを食らった時に、ある審査員からかけられた言葉です)
国内に二つの競争展があり競うことで、より公正な審査が期待できますし、セカンドオピニオンをとることで、自分の作品の正確な立ち位置を理解し、戦略を立てることもできます。審査競技においては一度の審査結果で、ふにょふにょふにょ、とならないことが大事だと思います。陸上競技のタイムの様に誰がどう見ても間違いない、というものとは違うのです。



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二点目はJPSへの提案です。
規約や規則を細かく決めすぎていないでしょうか。

リーガルマインドに明るい従業員や経営幹部がどれくらいいるのかわかりませんが、規約や規則は制定よりも監査と守らせることの徹底の方が難しく、コストがかかります。私は玉木さんの今回の発言を私なりの立場から擁護しますが、コンプライアンスに厳しく言えば、公益財団法人の副理事長が、自ら設定した規則を破る発言を自社出版物に掲載したことは、監督官庁からすれば問題なのだろうなと思いますし、池田さんの様に法律に明るい会員が不満を持てばいくらでも突つける原因を作り出していると思います。今回の議論も「郵趣研究」128号であのような不用意な記述をしなければ始まらなかったものです。

正直、JPSや審査員がたくさんの規則を守ることは無理だと思います。JAPEX一般規則を全員に通読させ、そのチェックをしてますか?とても無理だと思います。勉強会を定期的に全登録審査員を集めて行うようなことまでしなければ折角立派な規則を制定してもそれを生かすことはできません。規則や規約が多すぎると今回のように足をすくわれることも多いのです。

一方でJAPEX一般規則に記載ある、厳格なルールの適用が本当に郵趣の振興のためになるかというと、それも疑問です。タイトルページの添付漏れ作品は不受理にする、提出期限を1秒でも遅刻した作品は不受理にする、事前にダブルリーフの申請をしなかった作品は展示スペースに余裕があっても不受理にする。まさに国破山河で、郵趣のための規則ではなく規則のための規則となってしまうと思います。

GREX以外については、皆さんが自由に決定できるように、少なくとも外に公開する規則は廃止もしくは簡易化してしまったらどうでしょうか?

JAPEXが二大競争展の一雄として存在するために必要なのは、守られない規則を持つことではないはずです。
必要なことは、国際展ルールの拠り所のGREXを尊重した審査を行うことです。



またJAPEXが今後もガラパゴス化せずに、国際展準拠の切手展であり続けるためには、審査員の改革が必要だと思います。私は国内競争展の審査において、必ずしも国際展審査員資格だけが重要ではないと思います。
しかし、国際展審査員資格を持つ人と、ルールの運用と解釈において、国際的な潮流(ファッション)も押さえた上で、ディベートできる人でないとダメだと思います。この点圧倒的にJAPEXは劣っていると私は以前から感じてきました。国際展ルールを何度も読んでいない人は審査員が務まるはずがないのですが、一度も読んでいない人もいるのではないでしょうか。僕はこれまでに「切手展のその場になったら、審査員が絶対であることを出品者は理解し尊重すべき」旨を何度も書いてきていますが、その根拠は審査員がルールへ通じているからであることを、JAPEXの審査員の一部の方にはご理解いただきたいと思います。少なくとも全日本切手展の審査員との対話においては、国際展ルールの適用や解釈に関して議論することはありましたが、ルールに何が書いてあるかということはお互い理解していることが前提であり、安心して審査員との対話を行うことができています。(ちなみにその方は国際展審査員ではありませんでした)

私が尊敬する、ある日本の国際展審査員の方は、国際郵趣連盟からも一目置かれている人物ですが、その方と郵趣談義をし、少し込み入った質問をした時に、胸元から一枚の紙を取り出され、それに目を通して僕にアドバイスをくださいました。その紙にはGREXが印刷されていました。僕が「何度も国際展で審査をされてきて、GREXなんてもう頭に入っているでしょうに。」と言うと、「いやいや。改めて原文を確認して、その上で問題を整理することが大事なのだ」とおっしゃってくださいました。競争展の審査員をする上で出発点はGREXの理解と正しい運用だと改めて認識した次第です。

なおJAPEXの審査員及びその選定に関して誤解なきよう説明させていただくと、選ばれた一人一人の審査員の方に責任はないというのが僕の立場ですし、全日本切手展の審査員と比肩しても十分議論できる人も数人いらっしゃると考えています。責任があるのは審査員を任命し、教育する側です。逆に言えば、この立場に「国際展審査員資格を持つ人と、ルールの運用と解釈において、国際的な潮流(ファッション)も押さえた上で、ディベートできる人」が来て、任命や教育をするようになれば、平均的な審査員の水準の点において、全日展に並ぶことも不可能ではないと思います。

競争展は国際競技ですから、審査員を任命する職務にある人は、国際的な競技ルールに長けた人が就くべきで、たくさん珍品を持っている人やお金持ちの人、切手の研究論文をたくさん書いている人、掘り出しの上手な人、郵趣会のボス的立場の人、単に国際展で上位入賞しただけの人、切手商でビジネスが成功している人などが、国際展審査員のリーダーになる真摯な努力をせずに務まるべき職務ではないと僕は思います。GREXの解釈と運用、そしてルールの元締めである国際郵趣連盟のメンバーや審査員とコミュニケートができることは不可欠な要素です。

僕がJAPEXを強く支持しているのは、JAPEXが国際展準拠の切手展だからです。
この看板を外さず、GREXを準拠する限りは僕はJAPEXを強く支持しますし、改善に向けた関係者の努力を尊重いたします。



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[ 2016年03月10日 11:00 ] カテゴリ:競争展のルール | TB(0) | CM(0)
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